モスクワ生まれ。1988年に文芸誌に中編小説を発表以後ロシアの<新しい文学>を代表する作家のひとりとして注目されている。エロスを言葉に昇華させ、文体そのものを性的行為に似せると公言する彼女の文学は、しばしば内容のエロチシズムと混同され、旧来の批評家、作家たちの反感をかうこともあった。表層では恋愛の可能性(不可能性)をテーマとしながら、既成の表現を拒み、絶え間なく生まれる言葉によって現実よりも前に世界を存在させる作品は、プーシキンから発するロシアの文学主義的伝統の延長線上にも位置づけられる。