【特別寄稿】「南京虫」に寄せて 島田雅彦
定 価:2000円 税別
本文38-39ページ
ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・マヤコフスキイ(1893〜1930) Владимир Владимирович Маяковский グルジア生まれ。コサックの血をひく。13歳でモスクワに移り、19歳のとき過去の文学と訣別する「未来派宣言」に参加。以後アヴァンギャルド運動の中心的存在として、衝撃的な詩や戯曲を次々に発表した。また数多くの時事ポスターを描いて、革命後の社会動向の報道にも一役かった。1923年からは雑誌「レフ(芸術左翼戦線)」を刊行して新しい時代の文学芸術界を牽引。生前も死後も毀誉褒貶の振れ幅の大きな作家で、36歳の死には自殺他殺の両説がある。『南京虫』は35歳の作。 ゲオルギイ・ワシーリエヴィチ・コヴェンチューク(1933〜2015) Георгий Васильевич Ковенчук レニングラード(現・ペテルブルク)生まれの画家、エッセイスト。ロシア芸術アカデミー付属美術大学で学び、挿絵やポスターで多数の賞を獲得したが、自由な画風が災いしてソ連時代は不遇だった。ソ連崩壊後はユニークな絵が国の内外で高く評価され、特にフランスでの人気が高い。『南京虫』はアヴァンギャルド未来派の創始者の一人だった祖父クリビンの精神を受け継いだ渾身の作。彼の半生を綴った『ガガです、ガカの〜ロシア未来派の裔 ゲオルギイ・コヴェンチューク』(片山ふえ著・未知谷)や、彼自身のエッセイ集『8号室』(群像社)、『俺の職歴 ゾーシチェンコ短編集』(群像社)の挿絵でも、その作品にふれることができる。 片山ふえ 大阪外国語大学ロシア語学科卒。ムーザサロン主宰。草の根の国際交流活動の中で出会ったガガに魅了されて、上記の著書、訳書、また展覧会などでその作品を日本に紹介してきた。他に、著書『オリガと巨匠たち―私のウクライナ紀行』(未知谷)、訳書にコヴェンチューク『8号室』、人形絵本『まんまるパン』(以上、群像社)、ビアンキ作『初めての狩』(未知谷)などがある。
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