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越境する言葉は何をもたらしたのか

〈翻訳〉の文学誌 

 

カバー写真



過去と現在や自国と他国のあいだを越境する言葉によって文学は新たな視野をひらきつづけてきた。
他者を取り込む〈翻訳〉という行為をキーワードに、
夏目漱石、太宰治、小山内薫、芥川龍之介、宮本百合子から三島由紀夫、村上春樹、水村美苗などを読み解き、
日本文学とロシア文学の相互作用に光をあて
新たな文学誌を浮き彫りにする比較文学の論考。

定 価:4300円 税別

著者溝渕園子みぞぶち そのこ
ISBN978-4-910100-06-7 C0098
出版年:2020.2
判型:四六判 頁数:400ページ(タテ組み)
在 庫:アリ
分 野:比較文学(ロシア文学・日本文学)

目次
  序  
第一章 文学の翻訳から翻訳文学へ
 第一節 翻訳の規範――翻訳者の介入をめぐる二種の議論
 第二節 翻案とメタフィクション――太宰治「古典龍頭蛇尾」を素材として
 第三節 〈媒介者〉としての翻訳――村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」の岡田亨の位置づけ

第二章 移動の文脈における〈翻訳者〉と文化翻訳
 第一節 小山内薫の演劇観における主役の意味づけの変化――第一次ロシア・ヨーロッパ旅行前後を中心に
 第二節 シンボリズムの翻訳/翻訳のリアリズム――自由劇場のL・アンドレーエフ「星の世界へ」上演と小山内薫のL・バクスト論
 第三節 〈翻訳〉されたモスクワ――宮本百合子「モスクワ印象記」における都市と記憶の語り――
 第四節 鏡の中の日本とロシア――宮本百合子「モスクワ印象記」とB・ピリニャーク「日本印象記」

第三章 日露戦争前後の日本の翻訳文学
 第一節 文学化と翻訳の等価性――A・チェーホフ「六号室」の二種の翻訳
 第二節 翻訳のノイズと戦争小説のフロンティア――L・トルストイ「コーカサスのとりこ」の初期翻訳

第四章 日本文学のロシア語翻訳とロシア文学における日本人表象
 第一節 旧ソ連文芸市場へのアダプテーション――芥川文学研究の〈正統性〉
 第二節 禁書からブームへ――ペレストロイカ期の三島文学評価の転換
 第三節 現代小説に見るジャポニスムの文化的消費――V・ ピークリ「オキヌさんの物語」における日本人表象とオリエンタリズム

第五章 異文化表象と女性の周縁化
 第一節 〈内なる異郷〉の文化表象――「五足の靴」の異文化
 第二節 恐露病の想像力――夏目漱石「それから」と露西亜
 第三節 少女たちの〈ロシア〉――日露戦争期の少女雑誌『少女界』における文化的な領域

第六章 翻訳の可能性と文学の越境性
 第一節 言語交通と闘争の場――夏目漱石「坊つちゃん」のロシア語訳――
 第二節 〈翻訳〉と文学的反逆性――水村美苗「私小説 from left to right」の異言語混交文
 第三節 作家を〈翻訳〉するミュージアム――書物としての「夏目漱石内坪井旧居」の時空

結 び

溝渕園子(みぞぶち そのこ)
1970年生。東京外国語大学外国語学部ロシヤ語学科卒業、同大学院地域文化研究科博士課程単位修得満期退学。博士(文学)。熊本大学文学部准教授、広島大学大学院文学研究科准教授などを経て、2018年より現職。専門は比較文学。日本とロシアとの関係を主軸に、近現代の言語文化の越境をめぐる諸問題について、文学の見地から考察している。



 
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